読んだ本「ソクラテスの弁明・クリトン(プラトン)」「青色本(ウィトゲンシュタイン)」

ツイッターの転載

 

読書記録1
ソクラテスの弁明・クリトン(プラトン



理不尽な起訴で法廷に立たされる哲学者ソクラテスの反論という形式を通してソクラテス-プラトンの思想を表した対話篇。翻訳の現代語的な解釈もあってか内容が非常に今日的で興味深かった。特に難解な部分も無いので誰でも読めると思われる。

本作で描かれるソクラテスは道行く人に議論をふっかけて論破し「お前は適当に人生を生きてるな」と遠回しに説教して回る迷惑な老人として描かれており、そりゃ嫌われて死刑も求刑されるわと言った印象。とはいえそれは世の中を良くしたいという確固たる信念の元にあることも同時に描かれている。

弁明に描かれるソクラテスみたいな感じの人は特にツイッターによく見られるので紀元前から今に至るまで人間は変わらないものだと思った。同時に今だからこそより実感を持って得られる古典でもあるということだろう。ツイッターをやってる人は今こそこの古典を読むべきかもしれない。

実際本編のソクラテスの反証は非常に明快かつわかりやすい論法で行われており、昨今のひろゆき的な詭弁とは一線を画すものと感じた。三段論法や無知の知など現代人には常識的すぎるかもしれないが、しかし意外とこれらができないで議論を進める人は多いだろう。その意味でもぜひ読んでもらいたい(了)

 

読書記録2
青色本ウィトゲンシュタイン



哲学者L.ウィトゲンシュタインケンブリッジ大学における講義録。しかし通常イメージされる授業とは異なり、ウィトゲンシュタインが今現在取り組んでる哲学的テーマを未完成のまま語るという非常に難解な内容で、正直内容の一割も理解できたか怪しい。

自分が読んだ限りはウィトゲンシュタインは人間の日常における行動原理を哲学における言語や記号論に置き換えようと画策し、その困難さとヒントを断片的に伝えた内容と解釈した。数式のような論理が求められる哲学と一見まとまりのない日常の行動原理を融合させようとしたらしい。

とにかくわかりにくい本で、一つ一つの説明は論理的なのだがまるで取り留めのないツイート群を読んでるかのように話が飛び、断片として語られ、忘れたころに回収される非常に入り組んだ構造となっている。正直今の自分には早すぎた本だと思うが買ってしまった以上読むしかなかった。

とはいえ最初の方のリンゴを買いに行く例え等興味深いパートも多く意外と楽しく読めた。「リンゴを買いに行く」という行動をとるとき、もしその人が「リンゴ」と書かれた紙とお金を渡すことだけ考えて店に行き帰ってきたら目的は果たされてる可能性が高い。だがそこに彼の意思はないもかかわらずだ。

この事例を含めウィトゲンシュタインは人間の行動原理は記号の操作の集合体ではないかと匂わせているようだったが、正直解釈として正しかったかはわからない。また数年後読み返すつもりだ(了)